園芸学に感心深い方     
東北大学大学院農学研究科・農学部園芸研究室
植物ホルモン
発刊所 社団法人  農村文化協会
「植物ホルモンを生かす」  著者 太田 保夫  より引用
 オーキシン(IAA)
このホルモンの存在を最初に考えたのは、「種の起源」で有名なダーウィンである。
ギリシア語で成長するt言う意味である。成長の盛んな植物体内でトリプトファン(アミノ酸)から合成される。茎や葉の伸長、光や重力による屈曲、不定根や分岐根の形成、木部の分化、果実の生長、形成層の活性と葉の上偏成長などの促進作用、根の伸長、葉の老化落花を抑制作用などがある。単為結果作用を引き起こすので、種なしの果実を成長させる.とまと、なすの着果に利用されている。細胞の塊(カルス)を培養する時に必要なホルモンの1つである。
 ジベレリン(GA)
このホルモンの生理作用の特徴は、普通に成育している植物の生育を促進させることである。ブドウの単為結果を促進する作用
は、 デラウェア種など種なしぶどうの生産に利用されている。
 エチレン(?)
ガス灯の近くの街路樹の落葉が早いのも、石油ストーブで暖房するとレモンの着色がよくなるのも、このホルモンが関与している。
エチレンの生理作用は、広く多様で球根の休眠打破、成長の促進あるいは抑制、側枝の伸長促進、葉、花、または果実の脱離促進、開花
の促進、果実の成熟促進、葉緑素の分解促進、雄花の雌花化、呼吸作用の促進、タンパク質合成の促進、老化促進、耐病性の増大等が
あるこのような生理作用の発現する仕組みについては、不明な点が多いが、植物体内で細胞成分の金属と結合して作用すると考えられて
いる。さらにRNA(リボ核酸)の合成やタンパクの合成関与し細胞膜の浸透生にも影響を与えている。ごく最近植物はエチレンを代謝する事
がわかった検出された代謝産物は、酸化エチレン、エチレングリコール、及び同配糖体である。その中の酸化エチレンに注目すべきで、
その大変強い殺菌力です。植物がエチレンを生成しているのは、ホルモンとしての働きと共に、酸化エチレンを代謝生成して、外部からの
微生物の侵入を防ぐ働きです
サイトカイニン(SK)
始めカイネチンと命名された後サイトカイニン(細胞分裂促進剤)と呼ばれる様になる。組織培養(カルス)から芽や根を
形成させる時に、オーキシンとサイトカイニン(10:1)の比率にて最高の細胞分裂を示す。オーキシンが多いと根、
サイトカイニンが多いと芽の形成の方向に分化する。サイトカイニンは、葉の老化を抑え、緑色を保つ作用があり、主に根
で生成され地上部に送られので、根が健全であれば地上部の老化を抑えいつまでも緑色を保つ。そのほか、栄養分を
積極的に集める性質や、レタス、タバコ等の発芽促進、りんごの単為結果、ぶどうの着果促進、果実成長促進など、

 ブラシノライド(BR)
この物質は、動物の性ホルモンと同様に珍しくステロイド骨格を持っており、アブラナ(ブラシカ属)から発見されたことから命名された。
オーキシンの数千倍の活性を示す。さらにサイトカイニンと同様にキュウリの子葉の拡大を引き起こすし、ジベレリンと類似したわい性
エンドウ上胚軸及び黄化インゲン下胚軸の伸長を促進作用を示す。この様に、他の植物ホルモンと類似する生理活性を示す部分も
有るが、まったく異なった生理活性を示す新しい植物ホルモンとして注目されている。まず低温下での生育促進効果は、イネ、キュウリ
、トナワ、などで認められ、イネでは、低温下での念実向上、トマトの低温下での果実肥大効果、開花時の散布で、コムギ、トナワ、イネ、
ダイズ、ジャガイモトマト等の増収効果が認められている。このホルモンの研究は始まったばかりで、未知の利用価値に期待されている。
アブシジン酸(ABA)
芽の休眠や葉や果実の脱離現象を引き起こす原因物質である。このホルモンを無傷の植物に与えると、成長を著しく抑制する。
生成場所は、主として緑葉や果実で、茎頂など他の器官に転送される。他の生理作用として、種子や芽の休眠誘導、そして注目すべき作用として、サイトカイニンと反対に気孔を閉じさせ、葉からの水分蒸散を防ぐ働きがある。また、このホルモンは、ストレスモルモン
とも呼ばれ、乾燥、渇水、高温、低温、養分欠乏など不良環境条件下で生成が増大する。
アブシジン酸を産生する微生物が発見され、大量に生産することが出来る様になり、新たな活用法に期待がかけられている。

   フロリゲン